あるなしクイズの正解と小噺
先日、twitterにてこのようなあるなしクイズを出題しました。
記事をスクロールすると解説が表示されます。
初めて問題を見たという方は、2~3分考えてみてから
解説を見ることをおすすめします。
~解説~
Aの語群は、後ろに名詞をつけると抑揚が変化することがあります。
赤い⤵ 赤い⤴部屋→
固い⤵ 固い⤴素材→
美味しい⤵ 美味しい⤴水→
薄い⤵ 薄い⤴味付け→
これらのセンテンスは抑揚を変化させなくてもさほど違和感はありません。
赤い⤵部屋⤴
固い⤵素材⤴
美味しい⤵水⤴
薄い⤵味付け⤴
対してBの語群は、後ろに名詞をつけても抑揚が変化することはありません。
青い⤵ 青い⤵部屋⤴
柔らかい⤵ 柔らかい⤵素材⤴
不味い⤵ 不味い⤵水⤴
濃い⤵ 濃い⤵味付け⤴
※厳密に言えばこの解説は正確ではなく、NHK日本語発音アクセント辞典によると
"赤い""固い""薄い"の単語は平板型(語尾が下がらない型)として説明されています。
("美味しい"に関しては平板型と中高型の両方が登録されています。)
実際の会話では言い切りだと語尾が下がるため、
名詞をつけるとアクセントが変化したかのように感じられます。
twitterでは"知識が必要ない問題"と書いてしまいましたが、
普段標準語を離さない人にとっては標準語アクセントの知識が必要な問題でした。
ごめんなさいm(__)m
また、住んでいる地方によって解きやすさが大きく異なる問題になってしまったことも
重ねてお詫びいたします。
今後何かふっと思いつけばまたtwitterで出題するかもしれないので、
よければお付き合いください!
以下、この問題を作るきっかけになったちょっとした小噺です。
私はそのとき、日本語がネイティブではない海外住みの男性と談話していました。
なんてことはない普段の趣味などの話でした。
瞬間、私は彼が「赤い山だと、~~」と言った風に聞こえました。
私はその「赤い山」という単語が微妙に文脈に合わないと感じ、一瞬考えこみましたが、
すぐにそれは「高い山」の聞き間違いであったと気づきました。
なぜ私は「赤い山」という聞き間違いをしたのか?理由は明白でした。
彼のアクセントが「高い山」より、むしろ「赤い山」の
標準語アクセントに近かったからです。
彼のイントネーションは完璧であったでも関わらず、私のポンコツな脳は
それを普段さして使用することもない「赤い山」という単語に
勝手に脳内変換しまったことに私はびっくりして、その後の会話の最中も
ずっとその些細な事件が頭から離れませんでした。
あとで調べた結果分かったことですが、
日本語の形容詞は頭高型または中高型の割合がとても大きく、
平板型の形容詞は「赤い」を含め、かなり限定されるようです。
クイズに出ていないほかの単語だと、
「浅い」「遠い」などが当てはまります。
「高い山」を「赤い山」に聞き間違えたのは、
他に発音の近い平板型の形容詞が存在しないからだったのかと、
これを知ってようやく合点がいきました。
自分は耳で聞いた言語を脳内で処理するとき、
発音よりむしろ抑揚に重きを置いて処理しているのかも、と推測し得る、
日常の中の小さな驚きでした。